アクアリウムにおいて、一番の要とも言えるのが『生物濾過』です!
『物理濾過』と『化学濾過』もアクアリウムでは重要な役割がそれぞれありますが、これらは『生物濾過』のサポート的な立ち位置で紹介されていることが多いです。
自然界では、微生物・生き物・植物、これらがうまく関わり合い、成り立っています。
そこに目を向けた『自然界の微生物に着目した濾過装置』。
…そう。
これが『生物濾過』です。
『微生物(バクテリア)』=『生物濾過』
水槽の中で自然の循環を再現するためには『バクテリア』について知る必要があります。
飼育する生き物が長く元気にいれるように『生物濾過』を少しでも理解してもらえたらと思います!
生物濾過とは?
生物濾過をザックリ言うと下記のようなものです。
『バクテリアなどの働きで有害物質を、低害もしくは無害な物質に変え、水槽内を良い環境に保つ仕組み』
自然界ではそれこそ自然に行われている作用ですが、水槽という限られた空間でそれを成し遂げてしまおう!ということです。
ここでいう有害物質とは主にアンモニアのことです。
理科の実験を思い出す人もいると思いますが、凄いクサいやつですね。
アンモニアがなぜ水槽に溜まるかというと、エサの残りカスと、生体のフンが主な原因です。
どんなペットでも避けては通れないこの2つですが、アクアリウムではこれが大きな悪影響になります。
アンモニアがなぜ有害かはWikipediaさんを読んでみてください。
僕も読みましたが、とにかく有毒ということだけは分かりました。汗
バクテリアたちが無毒なものに変えてくれます。
※以下正確に話すとイオンとかの話が出てくるので、簡単にザックリと紹介してます。
①まず最初はニトロソモナスというバクテリアです。
このバクテリアはアンモニアを酸化させることでエネルギーを得ています。
そのとき、アンモニアと比べると低害な亜硝酸に変えてくれます。
②次にニトロバクターというバクテリアです。
このバクテリアは亜硝酸を酸化させることでエネルギーを得ています。
そのとき、亜硝酸をある程度無害な硝酸に変えてくれます。
③硝酸を窒素へ
ニトロソモナス、ニトロバクターなどのバクテリアは酸素が多い場所では上の①・②のような働きをします。
しかし酸素が少ない場所では嫌気呼吸ということをして、硝酸を無害な窒素に変えてくれます。
※嫌気呼吸とは、酸素を吸って二酸化炭素を出すという普通の呼吸のように、硝酸を吸って窒素を出すみたいなイメージです。
④窒素の行方
最終的にできた窒素は、水中に溶け出し空気中に放出されたり、水草に吸収されたりします。
水草に吸収されたものは、カットする事によって外に取り出されます。
また水換えによっても外に出されることになります。
生物濾過の流れはこのような感じです。
自然界では①〜④の流れを様々な生き物たちが上手いことやっていてバランスを保っていると思うとスゴいですよね!
自然由来の濾過という意味では、生物濾過とは『原点であり頂点』。
生物濾過を極めることは濾過を極める事と言っても過言ではないでしょう!
生物濾過の役割
生物濾過は『バクテリアの力を使って有害な物質を薄めて、急激な水質悪化を防ぐ』という役割があります。
有害な物質とは主にアンモニアのことです。
アンモニアは人間にとって有害で、魚などの生き物にとっても有害な物質です。
このアンモニアをバクテリアの力を使って、無害な物質に変えていきます。
力を使うと言っても、バクテリア側はただ生きてるだけなんですけどね(笑)
つまるところ生物濾過を達成するためには、『バクテリアを安定して飼う』事が重要になってきます。
バクテリアを安定させるためには、やはり自然界を再現させるのが1番の方法であり、再現こそが1番難しいところでもあります。
光が当たる所、当たらない所。
水の流れがある所、ない所。
酸素の多い場所、少ない場所。
土や砂など低床の環境。
様々な環境を水槽内・フィルター内に用意してあげて、バクテリアでは不十分なところを水換えなどで補ってあげて、初めて安定が手に入ります。
手間暇がかかりますが、植物を育てるような気持ちで手入れしていくことが1番の近道です。
生物濾過の注意点
バクテリアが定着するまでは濾過能力が無い
水槽立ち上げ時、バクテリアはほとんどいません。
水槽に水を入れてフィルターを回し始めたら、一週間ほど水を回すだけの期間を設けなければなりません。
バクテリアの繁殖を待つ期間です。
この時入れる水はカルキ抜きした水を使用しましょう。
そして一週間ほどたったら、丈夫な魚を数匹入れます。
ネオンテトラやアカヒレなどがいいと思います。
これは魚の飼育に問題ない水質かどうかをチェックして、また魚にフンをしてもらい、バクテリアのエサを発生させ、バクテリア繁殖を促す役割もあります。
ちなみに、水槽に最初に入れる魚のことを『パイロットフィッシュ』といいます。
人によってはこの時期に、バクテリアの餌として魚用の餌をごく少量入れる人もいます。(入れ過ぎには注意です)
ここまでしてようやく生物濾過が機能してくるので、最初の2週間程は本命の魚を我慢しましょう。
楽しみは取っておくべきです!
水換え時はカルキ抜き必須
水道水は消毒のために次亜塩素酸カルシウムが入っています。
これはいわゆるカルキというものです。
なぜカルキを抜かないとダメかというと、カルキにはタンパク質を壊す作用があるからです。
人によってはカルキで肌荒れなどが起こる人がいるようで、バクテリアに対しても悪影響が出てしまいます。
もともとバクテリアとかを殺菌するためですから、考えてみればそうですよね!
カルキ抜きをするには、バケツにくみ置きしておいたり、カルキ抜き剤を使用しましょう。
環境によって濾過能力が変化する(温度、酸素)
バクテリアは生き物ですので、環境によってその活動が変化します。
-水温-
飼う魚によって異なりますが、基本的にアクアリウムでの水の適温は24〜27℃ほどだと言われています。
バクテリアにとっても同じくらいの温度だと考えていいです。
低すぎたり高すぎると活動力が低くなり、濾過能力の低下になります。
-酸素-
基本的にバクテリアの活動には酸素が必要です。
なので外部フィルターのように酸素供給が少ない濾過器を使う場合、エアレーションをした方が生物濾過がうまく機能します。
濾過槽の容量によって濾過能力の差がある
各メーカーから色々な種類のフィルターが出ています。
フィルターの容量(水量)つまりは大きさによって、どれくらいのバクテリアが繁殖できるかが決まってきますので、濾過能力の差ができます。
当然、大きいものは多く、小さいものは少なくなります
じゃあ大容量のものが良いやん!
と思うかもですが、一言で言い切ることも難しいです。
それぞれのフィルターのポンプの性能が、水槽のサイズに合ったものを選ぶのが1番良いと思われます。
小さい水槽に高出力のポンプを使ったら、水槽内の水流がめちゃくちゃ早くなってしまいますからね!
各メーカーのホームページに仕様が書いてあるので、そこを参考にして選ぶのが良いです。
正直言ってちゃんと機能してるのか分からない
正直言って、バクテリアが住み着いているか目で見ても分からないですし、何を参考にして良いか分からないという人もおられるでしょう。
そうなんです。笑
分からないんです!
しかし、バクテリアにとって良い環境を作ることは努力で出来ます!
ろ材、温度、エアレーションなど、環境作りに重きを置いてバクテリアのためを思って水槽作りをしまりょう。
水質を見る試験紙やphメーターなども売っていますので、目で見て確認したい方は買ってみて水質チェックを!
生物濾過の掃除
飼育水で掃除
掃除の際はろ材を水ですすぎ洗いしますが、確実に飼育水(水槽内の水)で掃除するようにしてください!
水道水にはカルキが含まれており、バクテリアが死滅してしまいます。
バクテリアが死滅すると、水槽内の環境が変わり、魚にも悪影響になります。
小さい水槽の場合、飼育水が少なく十分に洗えないという場合があるかもしれません。
しかし、その場合でもなんとか飼育水で洗うようにしてください。
絶対に飼育水で掃除した方が間違いないです!
ついでに水道代の節約にもなりますしね!笑
長時間の場合エアレーション
掃除中に必要なものを買い出しに行ったりしませんか?
私はたまにあります。
このように長時間放置する時は、ろ材をエアレーションしておくことをお勧めします。
バクテリアが酸欠で死滅してしまうのを防ぐためです。
過保護だと感じるかもしれませんが、バクテリアは死んじゃっても目で見て分からないので、過保護に極振りしましょう!笑
生物濾過、勝手に分析
自然界の再現はロマン
生物濾過を取り入れることは、家の中に自然ができるということです。
都会だろうが、部屋が狭かろうが、部屋の中に自然ができあがるのはロマンがありますね!
バクテリアが住みやすい環境は生体にも良い
バクテリアが住み着いて、正常に活動している環境というのは、魚などにとっても良い環境ということが言えます!
バクテリアを極めることは、アクアリウムを極めることだと思います。
バクテリアを飼おう!
アクアリウムをすると、魚やエビ、水草などに注目しがちですが、バクテリアにも注目していくという意味で、『バクテリアを飼おう』と。
僕はそういうことにたどり着いてます。笑
なんにせよ生物濾過のテーマは『循環』なので、生体・水草・バクテリアの三位一体で考えていきましょう!
生物濾過のろ材の種類
セラミック製
麦飯石
サンゴ
プラスチック製